(前回の続き)
とりあえず、住人集会を
仕切ってくださった上の住人の方に
私はご挨拶をしに行った。
住人集会というのは、地上げ屋対策として、
みんなで相談し合う集会のようです。
個別交渉したい地上げ屋からしたら壊したいところでしょうが。
挨拶しに行った私に、上の住人は、
上の住人:
「どうですか?
引っ越すことに、あなたは賛成ですか?」
那旺:
「はい、特に問題ないですが・・。
皆さんどのようなご様子でしょうか?」
上の住人:
「実は僕はまだ地上げ屋には会って
いないんです。
明後日、会う約束になっていて、
その前に集会をしたいと思っています。
でも、聞いたところによると、
サインしてしまった人は特にですが、
地上げ屋に大阪弁でまくしたてられて、
怖くてサインするしか仕方なかった
と聞いています。
妻も怖かったって言っていました。
あなたは、すでに会ったんですか?
どんな印象でしたか?」
那旺:
「ええ、来ましたよ〜。
確かに、今日判子をついてくれたら、
特別な措置をするって言っていましたよ。
私はそういうやり方は、
ヤクザ屋さんがすることやろ?
あなた、ヤクザさんをやっている人?
それって勘違いされるからダメね!・・。って。
だから、もっと落ち着いて頂戴ね!
って伝えましたら、
そうしたら、
『ごもっともです。出直してきます』って、
素直に帰りましたよ。
大阪弁で愛想よくって、
とっても面白い人でした・・
漫才師の横山やすしみたいで、
話していて、おかしくて笑いっぱなしでね。
私も調子に乗って、おちょくり過ぎたかなぁ
そりゃ、こんな仕事に従事しているから、
腹の中は海千山千かもしれないけど、
そんなに悪い人には見えなかったけどなぁ・・。
同じ人のはずですよね?
担当は〇〇っていう名前の人ですから」
上の住人:
「僕はあなたみたいな人に出会ったことが
ありません。
なんでそんなに落ち着いているんですか?
こんなストレスなことを
楽しんでいるようにも見えてくる。
みんな怖がっているのに、
冗談を言っていられるなんて・・・。
なんだか良くわからなくなってきました。
僕はあなたみたいな人になりたいです。」
って感じで、
これは褒められていると思っていいのか・・、
よくわかんないけど、
上の住人は、
何か得体の知れないもの
を見るような目で私を見たのは確かだった。
きっと、真面目な人なんだろう。
(真面目。。あぜん。。でしゅ〜)
そうこうしていると、
上の住人の隣人の主婦が出てきて、
話に参加した。
契約書に印鑑を押してしまって、
この契約を却下できるかどうか、
弁護士に相談に行くと
いっているのはこの人でした。
話しているだけで、
何気に興奮しているのか小刻みに震えている様子。
印を押してしまったことに
ストレスを感じているのだろう。(多分)
那旺:「そんな契約は破棄できるから、
大丈夫なはずですよ」
っと私は一応教えてあげた。
その主婦もなんで私がそんなに
落ち着いているのか・・、
主婦:「不思議なパワーをお持ちの
方なんですね?
なんだか悩んでいる方が
変みたいな気持ちになってきました。」
って、言われてしまった。
私は、ただ、
普通のことをフツーに話しているのに。。
それから2ヶ月くらいして、
私も地上げ屋と交渉しなくては
ならない時期になりました。
住人の皆さんは、
そろそろ契約し終わった頃でしょう。
周りの雰囲気から察して、
私は、多分最後だろうと思います。
ていうか、
私はその時期を最初から狙っていました。
地上げ屋からは、
「連絡をくださ〜〜い」
と書かれた名刺が
3回も玄関のポストに投入されていた。
けれど、
連絡せずに放ったらかしにしていたら、
携帯のショートメールに数回、
「連絡ください。お願いします」
のメッセージが何度も入るようになった。
私的にはなんだかわかんないけど、
スグに連絡しない方が
いい気がしてたんです(へへへ)
あと、本当に忙しすぎて、
優先順位がずっとあとの問題だったから、
放置したかったのだと思います。
それに、
これからどんな話し合いになるのかと想像すると、
も〜う楽しくなってきちゃって、
楽しみは後に延ばしておきたい気もしてた。
(大人を遊んじゃいけませぬが)
ショートケーキのイチゴは最後に食べる方です。
後になって分かったことだが、
地上げ屋を泣かす一番の方策は、
「連絡が取れないこと」だと、
いい加減ビビった地上げ屋さんが親切にも
教えてくれたよ〜。
(地上げ屋ちゃん、にゃかしてしまったわい)
お〜、私って、
知らぬ間に地上げ屋さんのことを(愛しすぎて??)
先制攻撃していたんじゃん。
泣かしちまいまして、きゃ〜〜
「ごめん。。ナイスぅ〜」
(続く)
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