地上げ屋が来た翌日のことです。

 

ピンポ〜ン

 

お客様がいらっしゃる時間には少し早いなぁ
と玄関ののぞき窓から外を見てみると、

 

見たこともない30代の男性が立っている。
Tシャツに短パン姿だ。

明治牛乳の勧誘かな?(だいぶ具体的な想像です)
って思い、

 

数分後にセッション時間が近づいているので、
申し訳ないけど返事はせずに、
ドアは開けなかった。(要するに居留守です)

 

すると、短パン男性は隣の家にも
ピンポンしていたので、

やっぱり勧誘じゃんと思って、
玄関を離れようとしたら、

どうも、短パン男は上の階の住人のようだ。

 

話の内容をちと盗み聞きすると、
どうも地上げ屋の話をしているみたい。

 

ちょっと興味があるので、
そのまま玄関ののぞき窓から様子を伺った。

 

覗き見

(シーだよ。、物音たてないもんね)

 

上の3階の住人:
「お宅には地上げ屋が来ましたか?

先月、突然にこのマンションの所有者が変わった
というA4サイズのお知らせ
1枚が、
ポストに投函されたかと思ったら、

次は管理会社が変わったという名刺が配られ、

ついには、ヤクザのような男が3人くらい
このマンションをウロつく様になり、

とうとう、
昨日は、地上げ屋が現れて、
10月までに出て行ってくれと言わました。

実際のところ皆さんはどんな状況なのかと思い、
マンションの全世帯を今、回らしてもらっているんです。

こういう理不尽なことが起こった時は、
みんなと結束して、こちらが有利に
運べるようにしなくてはいけないんじゃないかと
思いまして。」

 

那旺の感想:そうだったのか。なるほど。
このお兄さん、真面目で誠実な人だとお察します。

 

隣の60代主婦:
「来ました、来ましたよ。
わたし。。本当に怖くて怖くて。。

なんなのよ、急に・・顔

突然来て、わたしにハンコつけって!

玄関にどんどん入り込んで、
凄く怖い顔で脅してきて、

怖くて、も〜どうしたらいいのか
わからなくなってしまい、

わたし、つい判子を押してしまいました。

 

那旺の感想:お隣様、感情的なご様子。。
たまに聞こえる親子ゲンカも半端なく
劇場的なはずだ〜。

 

怖い

(奥さん、あんさんの顔の方が、コ、コ、コ、怖いどす)

 

 

上の3階の住人:
「そうだったんですか〜。
僕が留守の時にうちの嫁が対応したのですが、

うちのも、強く迫られて怖かった顔真っ青
言っていました。

まるでヤクザのような、黒服で。
完全に脅しですよね!

でも、嫁は「ハンコは主人が帰って来てから」
と言ってくれたので、
まだ押していないのですが、

うちの隣の家の奥さんはやっぱり契約書に印を
押してしまい、

区の弁護士に契約の破棄ができないかどうかを、
相談しに行くと言っていました。

1階の年配の夫婦は、ここが終の住処と
決めていたそうで、かなりショックみたいですよ。

あの年齢になると、次の部屋を探すのが
大変なんじゃないかな?

そういう意味でも、地上げ屋の
言いなりにならないように、
皆さんで集まって交渉したらどうかと
思うんです。


ところで、具体的に言うと、
地上げ屋とはどんな交渉だったのか
よかったら教えてくれますか?」

 

隣の60代主婦:
「今日中に判子をついてくれたら、
10月まで家賃は払わなくて良いって。
敷金も全額返ってくるとか。

そして、手附金として五万円をくれると
言われて、

お金を貰っちゃいました。」

 

お金

(五万円、しっかり握ってます〜)

 

上の3階の住人:
「そうでしたか。個別交渉とはいえ、
みんな同じようなことは言われているの
ですね。

それと・・、
引越し費用は出すって言ってましたよね?

交渉するとしたら、
引越し費用をいかに多くもらうかが大きな
ポイントかと
思うんですが・・。

こうなったら私は出て行くしか
ないとは思っているのですが。

で、皆さんとの話し合いの場を土曜日に
設けましたので是非ご参加ください」

 

ってなやり取りを、私はドアに耳をつけて
聞いてしもうた。

 

聞く

(はい〜?なんじゃい?????)

 

それにしても、びっくり顔です。

 

人によって
これ程、ものの見方に差があるものなのか

 

全く同一人物の地上げ屋さんなのに・・。
私とは印象がこんなにちゃうとはねぇ。

 

地上げ屋=脅し屋=というレッテルが
そうさせるのだろうか!

じゃ、相手が弁護士だったら、
世界がどう見えるんやろか?

 

本質は本人とのやりとりなのになぁ。

 

昨日の地上げ屋さんとの会話は、
テンポの良いかけ合い漫才みたいで、
私にとっては愉快なやり取りだった。
(ただ胸を借りて遊ばせてもらいやした〜)

 

 

脅しと言われたら、そのニュアンスが全く
ないとは言えないけど・・、
だって地上げ屋さんなんだから。

 

私的には弁護士さんとあまりやることは
変わらない気がするけど。

 

彼らのお仕事は、
「出て行ってもらってナンボ
で生活しとるんじゃし。

 

だからと言って、「判子をつかされた」
って、直ぐに被害者にならなくても良いのにな。

 

地上げ屋さんって、要するに交渉人でしょ。
片一方が怯えていたら話になりません。
この交渉は最初から撃沈・白旗です顔

 

恐れ顔の目線でものを見てしまうと、
見えるものが顔見えなくなってしまいます。

 

隣の奥さんの話だけを聞いていたら、
あの人懐っこそうな大阪人地上げ屋さんは、
ただの極悪人になっちゃうわ。

 

あなたが力がないと思った時点で、
加害者がこの世に創造されてしまう。

でも、これらの恐怖は社会とか親から
教えてもらい、
真面目に受け継いだ顔ものなんですよね〜。

 

被害者にも加害者にもならない選択肢はあるよ。

 

 

(続く)