管理会社と名乗っている地上げ屋さん:
「ピンポ~ン、
この家の管理会社が変わりましたんや~。
ちょっとご挨拶に来ました。
ところでお宅さん、
10月に出て行ってくれまへんやろか・・」
っと、管理会社✖︎✖︎とは名ばかりの
名刺を出して、
見た目は、横山やすしみたいな風貌の
地上げ屋が来た。
その1ヶ月前の那旺:
「外からの柔軟剤臭が辛すぎる!
この家にいるのも、とうとう潮時だわ、
出って行ったる」
と啖呵を切っちゃった翌月に、
ほんまもんの地上げ屋が出現してしまった。
またもや現実化!
そんなに私って真剣に宇宙におねだりしたかな??
地上げ屋の兄ちゃん:
「大変にお気の毒なんですがねぇ、
決まったことなんで・・・スンマセン。
10月に出て行く約束をしてくれまへんやろか?
今日、ハンコついてくれたら、いいことありまっせ」
那旺:
「はぁ?それって、へんくなぁい。
今日来て、今すぐハンコつけって?
それってヤクザさんが言う事じゃんか!
もしかして、本物のヤクザさんですのん?」
地上げ屋さん:
「そんな、滅相もないですわ〜、
ヤクザなんて。
管理会社でスゥ。
・・というのは建前で、
ホントは地上げ屋なんですわ。」
那旺:
「わ〜〜〜(あの悪名高き←と心の中で思っている私)
地上げ屋さんを、ナマで見られるなんて、
超ビックリ!
で、私、テレビみたいに怖いこと
されるんだっけ?」
地上げ屋:
「イエイエ。。
昔ならともかく、今そんな酷いことを
したらすぐにコレですわ〜」
っと、お縄(手錠をはめられた)ポーズを
して見せた。
さすがは大阪人、ポーズが決まってる。
ケツを突き出しながら、
両腕を出している。
(ケツ突き出してお縄でござるワンシーン)
私も、せっかくだから同じように
心理カウンセラーとしておなじみの
ミラーリング法で、
ケツ出しお縄ポーズをやり返して見せた。
(でも思ったほど、
地上げ屋はウケてはくれなかった
こんなに面白い事してあげたのに、
この地上げ屋さん、余裕がないのかな?
また、リベンジしたると心で思いつつ。。)
地上げ屋:
「奥さん、そうなんですわ〜。
住んでいる人が法律で守れるようになって、
昔のようには脅しでは簡単に
ハンコついてくれへんから、
すっかりなんぎしてますわ〜。
ところで、どうですかね〜・・・」
っと、地上げ屋は、玄関の半分開いた
ドアから顔を乗り出すように
近づいてきた。
次のポーズはコレでした。
(内緒の話でっせ。シー)
↑(あっ!指が間違った。
地上げ屋が立てたのは中指じゃなくて、
人差し指でした)
那旺:
「なにそれ?
シー!って言っとるの?」
地上げ屋は向こう隣に聞こえないように
こそこそ話しに声のトーンを変えた。
(さすが、なかなか演技がよくできとる)
「こういう話はですねぇ、
個人交渉なんですわ。
地上げ屋の胸先三寸って感じでしてね。
奥さんが優位になるかは、私次第。。ってな」
那旺:
「へ〜〜、だからシーなのね〜。
きゃ〜大人の世界って感じ。」
そうこうやりとりが続きながら・・、
私はここからが本番交渉に突入か!
ってなモードの時に、
ちょっと、時間を取ってやろうと思って
こういった。
那旺:
「・・地上げ屋さん、悪いけどさ〜
今からお客さんが来るのね。
今日はありがと。。
ほんじゃぁ、またね」
っと、帰ってもらった。
実を言うと、
この大阪人地上げ屋との話中、
私はウケにウケまくって
ずっと笑っていた。
大阪人が話すごとに、
何故だかいちいちツボにはまっているから、
途中で大阪人を馬鹿にしている
んじゃないかと、勘違いされて
「ごめんなさい。ただ、笑っちゃうだけで、
全然馬鹿にしてないから・・」
と謝りながらまた笑っちゃうのだった。
地上げ屋:
「スンマセン。東京弁は私も憧れなんですが、
よう喋れませんわ〜。
東京の人って、かっこいいですもんねぇ。
そんなに、私の話し方って変ですか?」
那旺:
「そんなことないよ。
でもね、無料で吉本新喜劇を見させて
もらっているみたいでさ〜、
ありがたいなぁって笑っているだけだからさ、
気にしないでね!」
大阪弁って、たとえ脅迫されていようとも、
迫力が有るようで無さそうな、
時には泣き落としがあっても
情緒豊かで、お芝居をやっているみたいな、
そんな「遊びの間」があるから、
爽快なのだ。
大阪ならではのルールが、
文化となって血液にしっかり
染み付いているような、
そんなエネルギーを感じると、
嬉しくて、笑いが止まらなくなって
しまった。
お江戸にしか住んだことのない私のDNAは、
この交流に、心は沸き立ち喜んでいるのだ〜。
でも、この地上げ屋さんはハートレベルで
悪い人じゃないんだろうな〜。
こんなに真面目で、あるいはヤバイな話なのに、
私ってどうして不真面目になっちまうのか。
(続く)