(前回の続きです)
Kちゃんは次男の小学生時代の同級生の母であり、
私にガッツが有った時代のバレーボールチームの
新人同士であり、
親友と呼ぶに等しい人となる。
親友と呼ぶに等しい人・・って、
「ナニコレ・・回りくどい言い方をしているよなぁ」
て書いておきながら思った。
「親友」と定義した時点で、
他の友人との親しさをランク付けしてしまうみたいで、
少しだけ抵抗が有った。
だから、今までKちゃんを「親友だ」という
位置づけもせずにいたが、
ここで敢えて「親友」といって紹介したい。
大人になってから親友を作るなんて、
なかなか難しいと思っていたけれど・・・、
これまた思うに、
一緒にいた時間や、
思い出の多さとかが絶対なる信頼関係を
作るわけじゃないんだな~って。
いかに自分をさらけ出しても、
どんなに世間にみっともないことをしたとしても、
ただ、ありのままの自分を認めてくれて
受け入れてくれて、
そして質の高い時間をいかに共有できたかが
重要であり、
出来ることなら似たような価値観で、
互いが同じ方向に向かって行けているのなら、
とても楽しい事だろう
(お帰りなさい。いつも私の心の中にあなたの
居場所はあるんだよ)
Kちゃんとは、10年近く会っていなかったけど、
10年会わなかった間に、
私が色々とアホなことをしてきたストーリーを、
言いにくい事も含めて素直に話せたものだ。
「那旺ちゃんが幸せならいいよ。
それで十分だよ」
って、Kちゃんは優しく微笑んで
新しい私を招き入れてくれた。
(あなたが幸せならそれでいいんよ)
先週、次男と一緒にKちゃんの家に
行ってきた。
次男とKちゃんが会うのは、
20年ぶりになるだろうか。
Kちゃんは、前よりももっともっと、
幸せになっているように見えた。
パワーと輝きと充実感が感じられる。
次男もきっと同じように見えた事だろう。
明るい表情や張りのある声を聞いただけで、
誰が彼女をステージ4の乳癌と骨まで全身転移した、
癌患者なんて、思うだろうか。
Kちゃん:
「4月にさぁ、いい加減この私もお別れだわ!
って思ってね、
救急車で運ばれて覚悟を決めたんだけど、
だって、今までにない痛さだったから、
気を失いかけたのよ。
でも、普段薬飲んだことが無かったから、
一番弱い痛め止めが効いちゃってさ、
復活しちゃったわ。
緩和ケアの医者もびっくりよ
こんなに元気な末期患者なんてあり得ないって。
噂っていつの間にか広がるもので、
広島から友人達が最期のお別れに
続々と来ちゃってさ、
こんなに元気なもんで、
お部屋が個室だったから、
6~7時間くらいお喋りして帰ったよ。
まるでサロンでお茶会みたいになったから
楽しかったわ。
みんな、拍子抜けしてた~。(ワッはっはっは)
それにしても那旺ちゃん流石だね、
私が退院したら直ぐにメールが来たからさ。
こうやってちゃんと分かるんだね!
私、裸とかも見られるのが嫌だから、
看護師さんが着替えとか入浴のケアとか
してくれるというのに、
断っちゃってね。
看護師さん、やることないって言ってた。
自分のことが自分で出来なくなったら
神様に召し上げてくださいって頼んであるからね」
・・・・こ~んな調子です。
「階段は降りるのに一苦労になってきたよ。
先日、主人と車椅子でラーメンを食べに行ったら、
お店の人に、『足を骨折されたんですか?』
って、聞かれたから、
『これでも全身の骨まで転移した末期患者なんですよ~。』
って答えたら、
お店の人は、どうやってリアクションしたらいいか
分からなくなったみたいで、慌てさせちゃったよ。」
まさに、昔のKちゃんのまんまです。
彼女は全く変わらない。
一貫しているのだ。
「こうやって主人も退職したから、
一緒にいてくれて、最近は食事の支度も
任せちゃっているんだ。
助かるわホント。。
ご縁ね。この人で良かったって思ってる。
那旺ちゃんちに1回だけ家出をしたもんね!
あの時、ベルを押したら旦那さんが出てきて、
那旺ちゃんはメリーちゃんの散歩に行っていたのに、
那旺ちゃんの旦那さんは、扇風機をあててくれて、
冷たいものも出してくれて、・・・
私を追い返さなかった。
那旺ちゃんが反対の立場だったら、
家の主人だったら、何も対応なんてしなかっただ
ろうに、
何にも言わずに受け入れてくれて、
私、あの時の恩は忘れないんだ。
で、嫌な顔一つしないで、
なにも聞かずに泊めてくれた。。
私、本当に嬉しかった。」
彼女からこの話は何度も聞く。
隣で一緒に煙草を吸いながら聞いている
旦那さんも、
そんなことあったなぁ風で、
聞けるような態勢になっているようで・・・。
Kちゃん:「この人こうやってタバコ吸うじゃない?
私が癌になったのって、
煙草のせいじゃないかと思っているのね。
他に、癌になる理由がないからなぁ~」
那旺:
「確かに・・今時遺伝って~のも、
古い科学の話だしさ、
Kちゃんが性格的に癌になるタイプとは思えない
って私も思っているんだけどさ~」
と、隣のソファーで一応換気扇を付けながら
煙草をくゆらせる亭主を二人で見る。。
(アノヒト・・ハンニンっすか?疑惑。。)
(聞こえないふりの亭主)
那旺:
「いや、一つだけ気になる理由があるんだ~。
今更ねぇ、理由を知ったり犯人捜しをしたって、
どうなる訳でもないんだけど、
私はそれが怪しいって思っているの。
だから、検証のために今からインタビューするから、
答えてくれる?」
Kちゃん:
「もちろんよ。。なんでも聞いて!」
(続く)